今回で第2弾となる「私が読みたいブログ」の候補例はTVドラマ評論ブログ、
なのだが、収まり悪くもタイトルに冠した「教養の感じられる」という限定
にこそミソがある。
何となれば、教養の感じられないTVドラマ感想ブログ、またはTVドラマ・レ
ヴュー・ブログだったらいくらでも見受けられるからだ。
教養が感じられず、また内容もないTVドラマ特化型ブログは、日本にざっと
200万から6000万くらいは既に存在しているだろう — その98%ほどはTVド
ラマにいっさい興味もなく、また自分独自の情報も意見も持ち合わせていない
「アフィ厨」によるでっちあげつぎはぎ劣化コピー・ブログであり、残りの2%
ほどは小学生の読書感想文レヴェルの書きなぐり言い散らしレヴューである。
したがってそれは、メジャーなジャンルのようで実はニッチな、ブルー・オー
シャンと言っていいブログ・ジャンルとなり得る。
もちろんいつものように、あなたにしか書けない、あなただけが書ける内容を
書くならば、そしてその際に持てる限りの力を注いで1エントリを仕上げるな
らば、という条件付きではあるものの。
「TVドラマを観ることの達人」というのは確実に存在する。
そしてその人は、別段「何かのプロ 及び/もしくは 評論家」である必要はない。
実際、多くの「プロのサイトでプロとして書いているドラマ評論家」みたいな
人々には、びっくりするくらい素人臭い駄文の書き手、そしてTVドラマ以外の
アート・フォームについて何も知らず語れない書き手がいるものだ。
あなたは、そういう意味では「専門家」である必要はないし、またそうした専
門家ヅラしたド素人に引け目を感じる必要もない。
その代わりにあなたは、ドラマを観るにあたっての「見る目」を、他の何らか
のアート・フォームへの知見に基づいて持っている必要がある。
TVドラマというものが基本的にストーリー・アートである以上、あなたは少な
くとも映画/小説/漫画/アニメあたりの1つなり2つ以上なりのストーリー・アート
には詳しくある必要があろう。
「TVドラマを観ることの達人」は往々にして、というよりほとんど必然から、
映画/小説/漫画の2つ以上に、それも現代古典から最新モノまでに亘って詳しい。
逆に言えば、映画/小説/漫画にも詳しくなく、アニメといえばこの10年の最新モ
ノしか観ていず、そしてドラマだけを観ていさえすればドラマについて充分に語
れると思いこんでいるような人では、それこそ小学生の読書感想文レヴェルの
エントリを青息吐息のやっとで物し、しかもそれをまともな頭を持った人には
ロクに読んでもらえず鼻で笑われスルー離脱される、というのがオチだろう。
たとえば『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』。
海外SFの読者ならば、このドラマ作品が人類進化モノの1種であり、新人類の
登場に伴う人類社会の変動/拮抗のインパクトを描くものであろうと第1話から
見抜く。
スタージョンの『人間以上』やストルガツキーの『波が風を消す』を想い起こ
し、ラストに向けて壮大な縦軸が徐々に現れてくるのを期待を持って見守り、
そして映画化以降の残念な展開にがっかりしたことだろう ー ただ、その残念の
意を厳しくも正当な批判として上乗せレクイエムのように書くこともできよう。
いっぱしの漫画読みなら、惣領冬実の『ES』や玉井雪雄の『オメガトライブ』シ
リーズを想い起こし、そちらに準えつつの力の入ったエントリを書くこともで
きたろう。


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